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腎癌について

はじめに
腎臓は長径約10cm、短径約5cm、厚さ約3cmで重量が120~130gのそら豆状の臓器で、第11胸椎から第3腰椎の高さにおいて脊柱をはさんで後腹膜腔に左右一対あります。
主な働きは血液をろ過して尿を作り体内の水、電解質の調節や老廃物を排出することで、ほかにも血圧調節、造血に関するホルモンの産生、ビタミンDの活性化などにも関わっています。
腎臓にできる腫瘍には良性腫瘍、悪性腫瘍があり、このうち約9割は悪性腫瘍である腎細胞癌です。発生頻度は人口10万人あたり約2.5人です。40歳代か ら70歳代に多くみられ、男女比は2~3:1で男性に多くみられます。明らかなことはわかっていませんが、発症の危険性を増加させる要因としては喫煙、脂 肪の多い食事の摂取、遺伝子(VHLなど)、解熱鎮痛薬の長期使用などが知られています。また慢性腎不全で透析中に腎癌が効率に発生することも知られてい ます。泌尿器科系悪性腫瘍のなかでは前立腺癌、膀胱癌に次いで多い腫瘍です。

【症状】
以前は肉眼的な血尿、側腹部に触れる腫脹や側腹部の疼痛など大きくなった腫瘍の局所の症状、または原因のはっきりしない発熱、貧血や体重減少など全身症状 を契機として発見されることが多かったのですが、最近はより小さな腫瘍が健康診断や他の疾患の検査中に腹部超音波検査やCT検査などにより偶然発見される ようになり無症状であることが多いのです。

【診断方法】
最も一般的なのは腹部超音波検査です。これにより腫瘍の大きさ、血流の状況、内部の性状などがわかり、腎嚢胞や腎血管筋脂肪腫などの良性疾患の鑑別にも有 用です。超音波検査で腫瘍が見つかるとCT検査や MRI検査が施行されます。これにより腫瘍の質的診断、周囲への浸潤の程度、他臓器転移の有無、リンパ節腫大の有無などを調べることができます。排泄製尿 路造影は尿路との関係の確認や腎盂腫瘍(腎盂粘膜から発生する腫瘍)との鑑別診断に用いられます。腎血管造影検査は以前診断のために良く用いられました が、身体的負担が大きいため、近年CT検査、MRI検査の精度の高まりにつれて塞栓術(腫瘍内の血管を薬剤やコイルで詰める)以外あまり行われません。

【病期】 (癌の進行状況)
本邦の腎がん取扱い規約(第3版)では1)T:局所での癌の大きさや広がり、2)N:近くのリンパ節への転移の有無と程度、3)M:他の臓器への転移の有無の3つの指標を総合して(TNM分類)、4)病期を4段階に分類しています。

1) T-原発腫瘍
T1:最大径が7cm以下で腎に限局する腫瘍
T1a 最大径が4cm以下で、腎に限局する腫瘍
T1b 最大径が4cmを超えるが7cm以下で、腎に限局する腫瘍
T2:最大径が7cmを超え、腎に限局する腫瘍
T3:腫瘍は主静脈内に進展、または副腎に浸潤、または腎周囲に浸潤するがGerota筋膜(腎、副腎とその周囲脂肪を合わせて包む腎周囲の膜)を超えない
T4:腫瘍はGerota筋膜を超えて浸潤する

2) N-所属リンパ節転移
N0:所属リンパ節転移無し
N1:1個の所属リンパ節転移
N2:2個以上の所属リンパ節転移

3) M-遠隔転移
M0:遠隔転移無し
M1:遠隔転移有り

4) 病期分類
Ⅰ期:腫瘍の大きさは7cm以下で腎臓内に限局している癌(T1 N0 M0)
Ⅱ期:腫瘍の大きさは7cmを超えるが腎臓内に限局している癌(T2 N0 M0)
Ⅲ期:腫瘍は限局し他臓器への転移を認めないが、所属リンパ節転移を1個認めるか(T1-2 N1 M0)、あるいは腫瘍は主静脈内に進展、または副腎・腎周囲脂肪組織に浸潤するがGerota筋膜を超えず、リンパ節転移を認めないか所属リンパ節転移1 個で、他臓器への転移を認めない(T3 N0-1 M0)
Ⅳ期:腫瘍がGerota筋膜を超えて浸潤するか(T4、Nに関係なくM0)、2個以上の所属リンパ節転移があるか(Tに関係なくN2、M0)、あるいは他臓器への転移がある(T・Nに関係なく、M1)

【治療】
治療法は手術で腎細胞癌を取り除くことが中心です。既存の抗癌剤による化学療法や、放射線療法ではほとんど効果がないと考えられています。
手術療法には根治的腎摘除術(腎臓とその周りの脂肪、筋膜、副腎を一緒に取り除く方法)、腎部分切除術(腫瘍の部分のみを切除して、腎臓自体は温存する方法)、腹腔鏡下腎摘除術(腹部を大きく切らず内視鏡を腹壁から挿入して手術する方法)などがあります。
場合によってはカテーテルを用いて腎臓の血管を詰める腎動脈塞栓術のような手術以外の方法もあります。
転移巣に対する治療としては手術、免疫療法(自己免疫機能を高めるインターフェロンやインターロイキン2といった薬の注射)や分子標的治療(体内の特定の 分子を狙い撃ちしてその機能を抑えることにより病気を治療するソラフェニブ、スニチニブなどの内服薬)といったものがあります。また骨転移に対しては症状 緩和にゾレドロン酸注射や放射線療法(30Gy 程度の線量)などが用いられます。

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